2021.01.04更新

今回の事例紹介は種類株式を導入し、従業員持株会の設立等により従業員の福利厚生を充実させつつ、後継者にも持株を移転した事例をご紹介いたします。

ご相談者様:L社 代表取締役 T様
後継者:L社 役員 R様及びE様

T様は、L社株式のみで約4億円の資産となっており、多額の相続税が発生する見込みでした。
その他の財産を合わせると相続税は約6千万円発生する見込みとなっておりました。
しかし、T様はなるべく会社と私的なものを混同しないよう、大幅な株価対策は望まれておりませんでした。

そこで私たち大阪相続税サポートセンターは株価を落とさず、持株数を減少させる方法により相続税対策を行う方針で対策案を考えさせていただきました。

その時、利用することを思いついたのが、種類株式の導入及び従業員持株会の設立でした。
福利厚生を充実し、社員満足度の向上を図りつつ、T様の持株数も減少させることが出来る方法です。
上場会社のデータ等を見てみますと、発行済株式数の2%~5%程度が持株会により保有されている会社が多く見られました。
L社は非上場会社であり、今後も上場予定はないことから、発行済株式数の20%を従業員持株会の保有とする方針で決まりました。
1年で20%動かすのではなく、持株会入会条件に勤続年数を設け、数年かけて少しずつ持株会へ移行する運びとなりました。

持株会の設立は私たちが信頼を置いている司法書士の先生にご依頼させて頂き、手続きを進めさせていただきました。
初年度は約10%の株式の異動を行いました。

この従業員持株会に譲渡した株式は、「配当優先株式」と「無議決権株式」の特徴を組み合わせ、優先的に配当を回しつつ議決権はない株式としました。
これにより従業員の士気が向上し、次年度以降の利益にも反映されることを祈っております。

また、後継者へはなるべく贈与税がかからないよう調整しながら株式を移転することとなりました。
この後継者は親族外であるため、評価方法は「配当還元方式」による評価となります。
1株当たりの金額は大きくないため、贈与税がかからない範囲で、少しずつ贈与して経営権を委譲していく予定です。

さらに、ここでも種類株式を導入しました。
内容としては、後継者の役員退任時に、後継者が保有する株式を会社が買い取る旨の取得条項を付した株式「取得条項付株式」へと転換しました。
これにより、将来の相続の際、会社経営に携わらない方への株式分散を抑制することとなります。


この株式の移転が終了すればT様の持株は約半数となります。
同時に親族への贈与によりその他の資産も移転していくことにより、相続税は対策前の6千万円から、3.5千万円まで減少する見込みです。


引き続きモニタリングを継続し、L社の事業承継をサポートしていきます。

このような手法で福利厚生を充実させつつ相続対策をしっかりと行うことも不可能ではありません。
現代、従業員の満足度向上は会社にとって大きな利益につながるものであります。
事業承継にお困りの方は是非私たち大阪相続税サポートセンターにご相談ください。

 

 

投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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