2021.01.04更新

遺言における財産の移転には2通りの書き方があります。

それが「相続させる」旨の遺言と「遺贈する」旨の遺言です。

この二つ、違いが良く分からず、「遺言だから遺贈だよね」という形で「遺贈する」旨の遺言を書いてしまう方がいらっしゃいます。

しかしこの二つ、大きな違いがあります。

まず1つめの違いです。

「相続させる」旨の遺言は法定相続人に財産を移転させる際にのみ利用できます。反面、法定相続人以外に対して「相続させる」と書くことはできません。

一方、「遺贈」とは遺言によって財産を無償で譲ることをいいます。譲る相手には特に制限はありません。従って、法定相続人に対しても、それ以外の人、団体、法人に対しても「遺贈する」と書くことができます。

2つめの違いは不動産等の手続きによる差です。

①不動産登記手続きの際の差

「遺贈する」と遺言に書いた場合は、受遺者は他の法定相続人全員と共同で所有権移転の登記申請をしなければなりません。このため、かなりの時間と手間が掛かる場合があります。また、相続人の間で相続争いが起きた場合は、他の相続人から協力が得られず登記手続きが進まないおそれもあります。

一方、「相続させる」遺言の場合は、指定された相続人が単独で所有権移転の登記申請をすることができますので、手続きが簡単かつスピーディーにできます。

②農地の取得の際の差

「遺贈する」遺言の場合は、包括遺贈(遺産の全部の取得又は遺産の部分的な取得の割合を指示するにとどまり目的物を特定しないでする遺贈)の場合以外は、農地法による農業委員会又は知事の許可が必要となります。従って、受遺者が農業に従事していない場合は、許可が下りずに登記ができない可能性があります。

一方、「相続させる」遺言の場合は、農地法による許可は不要ですから、登記は円滑に行うことが出来ます。

③借地権・借家権の取得の際の差

遺産が借地権や借家権の場合、「遺贈する」遺言では賃貸人の承諾が必要となりますが、「相続させる」遺言の場合は賃貸人の承諾は不要です。

 

遺言は内容を一歩間違えると相続人間での争いへと発展する文書です。

適切な内容で遺し、争いの火種とならないようにしたいですね。

大阪相続税サポートセンターでは遺言の書き方についてもサポートを行っております。

お気軽にご相談ください。

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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