2020.12.18更新

弊所では、下記日程の間、年末年始休暇となります。

期間中は皆さまにはご不便ご迷惑をおかけいたしますが、

ご理解の程、よろしくお願い申し上げます。

 

■年末年始休暇期間

 令和2年12月29日(火)~令和3年1月3日(日)

 

どうぞよろしくお願いいたします。

投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.12.08更新

金融資産家の方々は資金が豊富にあり、納税資金に困ることはあまり多くないと思います。
むしろ、現金を贈与により下の世代に異動することが必要と言えるでしょう。

そこで活用したい贈与税の特例が3つあります。
①住宅取得等資金に係る贈与税の特例
②教育資金に係る贈与税の特例
③結婚子育て資金に係る贈与税の特例
です。これらの特例は、要件を満たせば一定の金額までは贈与税を非課税とする制度です。

それぞれの要件と非課税となる金額は次の通りです。

<特例> 住宅取得等資金に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年12月31日まで
<受贈者の要件> ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること
③贈与を受けた年の年分に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
④自己の親族等から取得等するものでないこと。
⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を住宅用家屋の取得等に充てること
⑥贈与税の居住無制限納税義務者又は非居住無制限納税義務者に該当すること

⑦贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくなの家屋に居住することが確実であると見込まれること。

<非課税限度額> 住宅用家屋の取得等に係る
契約の締結日
省エネ等住宅   左記以外の住宅   
H31.4.1~R2.3.31 3,000万円 2,500万円
R2.4.1~R3.3.31 1,500万円 1,000万円
R3.4.1~R3.12.31 1,200万円 700万円

 

<特例> 教育資金の一括贈与に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年3月31日まで
<受贈者の要件>           ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②贈与を受ける人が30歳未満であること
③金融機関等との一定の契約に基づくこと
④取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出すること
⑤贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
<贈与者が死亡した場合> 死亡日における非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額のうち、死亡日前3年以内に取得したものについては相続又は遺贈により取得したものとして取り扱う。
<受贈者が30歳に到達した場合> 非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額を贈与により取得したものとして取り扱う。
<非課税限度額> 学校等への支払い 学校等以外への支払い 最大
1,500万円 500万円 1,500万円

 

 

<特例> 結婚子育て資金に係る贈与税の特例
<贈与期間> 令和3年3月31日まで
<受贈者の要件>           ①贈与をした人の直系卑属(子、孫等)であること
②20歳以上50歳未満であること
③金融機関等との一定の契約に基づくこと
④取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出すること
⑤贈与を受ける年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
<贈与者が死亡した場合> 死亡日における非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額については相続又は遺贈により取得したものとして取り扱う。
<受贈者が50歳に到達した場合> 非課税制度の適用を受ける金額として非課税申告書に記載した金額から実際に支出した金額を控除した残額を贈与により取得したものとして取り扱う。
<非課税限度額> 子育てへの支出 結婚への支出 最大
1,000万円 300万円 1,000万円

 

これらを組み合わせて利用することで直系卑属に必要な資金を渡すと同時に自身の相続税対策を行うことも可能となります。
これらの制度は一定の金額を非課税とするものであるため、例えば住宅取得等資金を1,500万円、通常の贈与を110万円行ったとしても贈与税は発生しないということになります。
適切な贈与で子供たちにも喜ばれる相続対策を実行していきたいですね。

生前対策のご相談は大阪相続税サポートセンターまでお気軽にご連絡下さい。

 

◆大阪市で相続税の申告・相続税対策なら大阪相続税サポートセンター

投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.12.04更新

前回まで地主様の相続税対策をご紹介してきました。

次は金融資産家(預貯金、上場有価証券、投資信託等を多額に保有されている方)の相続税対策についてご紹介いたします。

金融資産家の方は地主の方と違い、現金化しやすい資産を多く保有していることに特徴があります。
つまり、地主の方が陥りやすい「納税資金不足」という事態に陥りにくい傾向にあります。
相続した株式等を売却し、納税資金の捻出が可能です。
そのため、相続税対策を行う際に納税資金を常に確保した状態で可能な対策を行うこととなります。
金融資産家の相続税対策として一番簡単なものは暦年贈与です。
親族等に毎年110万円ずつ贈与すれば無税で財産の移転が可能となります。

しかし、多額の資産を運用している金融資産家の場合、この対策だけでは節税効果が追い付かず、結局多額の相続税が発生するということもあります。

そこで検討するのは
①マンション、アパートなどの不動産の購入
②贈与税を発生させる贈与
③贈与税の非課税の特例を利用した贈与
の3つとなります。
②は相続税がどれだけかかるのか、相続財産に対する相続税の割合は何%なのか、ということを試算してから、贈与税が贈与財産に対する相続税の割合を下回るよう贈与を行うこととなります。

相続財産1億円 相続税2,000万円 ∴割合20%
贈与財産700円 贈与税112万円 ∴割合16%

相続財産が1億円であれば、相続財産に対する相続税の割合は20%です。
そのため、700万円の贈与であれば贈与財産に対する贈与税の割合が16%となるため、子の贈与は相続税対策には有効であるという判断になります。

③は住宅取得等資金の一括贈与、結婚子育て資金の一括贈与、教育資金の一括贈与などの各種特例を用いた方法です。詳しくは別記事にて説明致します。

さて、本命となるのは①の不動産の購入です。
不動産の相続税評価額は時価の7割~8割程度と言われています。
この差額を利用したものが不動産の購入です。
例えば、時価2億円の不動産を購入したとします。
この不動産の相続税評価額が1.5億円だとすると、財産の評価額にして約5,000万円の差額が発生します。
もし相続財産がこの金融資産又は不動産のみとした場合、相続税にすると、配偶者+子2人の場合
①2億円の金融資産の場合の相続税納付額:1,670万円
②1.5億円の不動産の場合の相続税納付額:920万円
①と②の差額は750万円となります。
金融資産を不動産に換えるのみで、これだけの節税効果が発揮されます。

しかし、このマンションの値下がりリスク等も発生します。
もし2億円のマンションを購入して750万円節税できても、値下がりで1.8億円になってしまうと節税効果を上回る損失が発生します。
そのため、購入する不動産は専門家に相談することが大切です。

大阪相続税サポートセンターでは不動産会社とも連携し、しっかりとご相談者様のサポートを行っております。
お気軽にご相談ください。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.12.02更新

前回までで地主様の相続税対策については資産管理会社が有効である旨をお伝えしてきました。

今回は実際に資産管理会社を設立し、大幅な節税に成功した事例をご紹介いたします。
※プライバシー保護の観点より、個人名は伏せております。

資産管理会社の区分:不動産所有方式

【ご相談者様】X様ご夫妻
・夫婦で持分1/2ずつ所有。
 夫婦の財産合計は下表の通りでした。

資産内容 金額 債務等 金額
①土地 45,000万円 ①銀行借入金 13,000万円

②建物

10,000万円    
③現預金 5,000万円    
④その他の財産 2,000万円    

財産の状況及び不動産所得の状況より、不動産管理会社の設立が効果的ではないかと考え、シミュレーションをご提案しました。

①現時点で相続が発生した場合の相続税、②不動産管理会社を設立した場合の相続税の二つを簡易的に計算しました。

試算結果 現状 不動産管理会社設立時点 差額
1次相続 1,750万円 1,906万円 △156万円
2次相続 7,744万円 8,443万円 △699万円
合計 9,494万円 10,349万円 △855万円

※2次相続計算上は1次相続における法定相続分の財産を取得したものとして計算。(以下の税額シミュレーションにおいて同じ)

建物は会社に対して簿価で売却することとなるため、建物の相続税評価額より売却時の現金が高くなります。そのため、会社を設立すると売却時点では、少し相続税額が上昇してしまっています。

そのため、売却時点のみを見ると節税効果はないように思えます。
しかし、時間が経つにつれて節税効果は大きくなります。
例として、現状の所得等が永続することを前提として10年後の相続税をシミュレーションしてみると、下記の通りとなります。

  現状維持の場合 会社設立の場合 差額
1次相続 2,676万円 2,131万円 545万円
2次相続 11,524万円 9,343万円 2,181万円
合計 14,200万円 11,474万円 2,726万円

生活の変化等を考慮しないため、机上の空論ではありますが、10年後には対策の有無で1次相続、2次相続合わせて2,700万円も相続税に差額が発生していることが分かります。

これが資産管理会社の設立による不動産の流動資産化、所得分散の効果です。
この効果をX様ご夫妻にご説明させていただき、資産管理会社を設立することとなりました。
なお、売買資金は銀行に経緯やスキーム、キャッシュフローの見積もりを行うことでご納得いただき、早々にご融資頂くことに成功しました。


このように、資産管理会社の設立による所得分散は所得税の対策だけでなく、相続税の対策にも有効であります。

売買を行うにあたり、キャッシュフローが回るか否かなどのシミュレーションも行い、緻密な計画を行うことで銀行も快く売買資金を法人に融資してくださいました。


今回の対策では現時点では設立までを行いました。
今後ヒアリング、モニタリングを継続し、現金の贈与等を行う予定です。

また、資産管理会社への売却を通じて資産を現金化することに成功したため、これにより遺産の分割についても、お話をかなり進めやすくなりました。
親族間でもお話合い頂き、資産管理会社に出資した長女A様は若干少なく、他のお子様にはそれぞれ希望通りの割合でおおむね合意に至っています。

大阪相続税サポートセンターでは、相続税の節税だけでなく、遺産分割協議や後見制度、信託制度などを他の士業とも連携してサポートしております。

お悩みがございましたらお気軽にご連絡ください。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.11.10更新

相続税対策(地主編Ⅰ・Ⅱ)において、資産管理会社を解説してきました。

 

しかしここまでの話は新規で設立する前提の話です。

既に資産管理会社を設立済みで、個人オーナーがその資産管理会社の株を持っている状態の場合は

どのようにすればよいのでしょうか?

 

この場合は不動産の承継の前に、自社株式の対策を行うことになります。

 

法人保険の活用や役員給与の引き上げ、不良債権の処理、遊休土地の活用などにより自社株式の

評価額を引き下げ、その自社株式を次の世代に贈与することで資産管理会社の「所有者」を

変更することとなります。

評価額の引き下げは組織再編や株式分割なども活用することができます。

 

もし対策を講じようとする方が60歳である場合には平均余命※1をベースとした場合、

男性約24年、女性約29年(令和元年分簡易生命表より)となっており、

また、平均的な健康寿命※2は男女ともに75歳前後となっており、時間として

15年ほどは残されている状態となります。

 ※1平均余命…ある年齢の人々があと何年生きられるかという期待値のこと。

        ちなみに、平均寿命とは0歳の人の平均余命のこと。

 ※2健康寿命…判断能力や身体の自由について健康的な生活が出来る寿命のこと。

 

この場合の対策例としては、以下のようになります。

<例1> 相続時精算課税制度の適用を受ける場合

 暦年贈与により少しずつ株式を承継し、退職時の退職金で下落した株価で

 相続時精算課税制度(コラム「贈与の種類」参照)の適用を受けることにより、

 低い株価で株の評価額を固定して承継を終えることができます。

 

<例2> 相続時精算課税制度の適用を受けない場合

 株式分割により1株当たりの評価額を下落させ、長期的な贈与で承継する方法もあります。

 

また、個人オーナーがまだ収益物件を持っている場合には、贈与している期間で

売買してしまうと法人の利益が増加する危険性があるため、できるだけ承継期間の後半もしくは

承継後に収益物件を法人に移転することが望ましい場合もあります。

 

というのも、どれだけ収益物件から所得が出ているか、株価がいくらなのか、

節税額がどうなるのかなどを総合的に判断したうえで対策を講ずる必要があるからです。

 

「必要に応じて必要な対策を講ずる」ことが節税への第一歩となります。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.11.05更新

前回のコラム相続税対策(地主編Ⅰ)では、資産管理会社の設立を行うことで長期的な相続税対策及び

納税資金対策を行うことができるとお伝えしました。

 

その資産管理会社には実は以下の3種類の形態があり、どの形態で活用するかということも検討が

必要となります。

(1)管理料徴収方式

(2)転貸方式

(3)不動産所有方式

 

前回お伝えしたのは、(3)不動産所有方式による節税です。

(1)~(3)のそれぞれのメリット・デメリットは次の通りとなります。

 

(1)管理料徴収方式

    オーナーは個人のままで、資産管理会社は物件の管理(清掃、見回り、集金代行等)を行う

    方式です。

メリット

①管理業務の導入が簡単
管理料徴収方式の場合は不動産オーナーが法人に管理業務を委託するのみであるため、入居者との契約は個人オーナー名義のままであり、契約書の書き換えが不要です。 居住者の負担は集金業務を管理会社が行う場合の入金口座の変更のみとなります。

②不動産の移転コストがかからない
不動産の所有者はあくまで個人オーナーであり、不動産の所有権は移転しないため、登記費用や不動産取得税などの移転コストは発生いたしません。

デメリット

①所得分散効果が限定的
管理料として資産管理会社に移転できる収益が不相当に高額な場合、所得税法第157条「同族会社等の行為又は計算の否認」の規定により、経費として認められない事例もあり、所得分散効果は他の方式と比較すると限定されます。

②管理契約に基づく作業日報等の書類作成負担の発生
資産管理会社として税務当局(税務署、国税庁)に認められるには、資産管理会社が実態として業務を行っていることが不可欠です。そのため、物件の見回りや清掃等の頻度・内容を明確にするために管理契約に基づく作業日報等を作成し、保管しておくことが重要です。

 

 

 

 

(2)転貸方式

    サブリース方式とも呼ばれる方法で、巷で話題の「35年一括借上げ」のようなものです。

    個人オーナー所有の物件を資産管理会社に一括で貸し付ける方式で、会社は個人オーナーに

    借上げ家賃を支払い、一方で借上げた物件について入居者を募集し、家賃収入を得ます。

    入居者からの家賃収入と個人オーナーに支払う借上げ家賃との差額が資産管理会社の収益

    となります。

メリット

①管理料徴収方式よりも所得分散効果が大きい
管理料徴収方式の場合、管理料は賃料の3~7%が相場であり、多くても10%程度に抑えなければ税務当局に否認されかねません。しかし、転貸方式であれば借上げ家賃は通常家賃の80~90%となり、通常家賃との差(20%~10%)を資産管理会社の収入とすることができます。なお、こちらも借上げ家賃を通常家賃の60%にするなど、場合によっては税務当局から否認される可能性もありますので、注意が必要です。

②不動産の移転コストがかからない
不動産の所有者はあくまで個人オーナーであり、不動産の所有権は移転しないため、登記費用や不動産取得税などの移転コストは発生いたしません。

③相続発生時には入居者との契約書の書き換えが不要
賃貸借契約は入居者と会社の間で交わされるため、個人オーナーに相続が発生した場合においても、契約書を相続人名義に変更する必要はありません。※資産管理会社と個人オーナーの間では契約書の書き換えは必要です。

④相続区発生時の評価額の圧縮
転貸方式による一括借り上げは、、個人オーナーと資産管理会社との間での貸付となり、個人オーナーに相続が発生した場合には賃貸割合が100%となるため、相続税評価額の圧縮につながります。

デメリット

①空室率が高いと会社の収支が回らない
資産管理会社にとっては空室率が低ければ多くの収入を得ることが出来ますが、逆に空室率が高い場合には借上げ家賃が家賃収入を上回ってしまい、資産管理会社のキャッシュフローが悪化し、支払い不能となってしまう恐れがあります。

②一括借り上げ時の入居者との間での手続きが煩雑
入居者との契約は資産管理会社が行うこととなるため、個人オーナー名義で賃貸借契約書を作成している場合には変更する必要があります。また、家賃の入金口座も変更となります。

 

 

(3)不動産所有方式

    資産管理会社が不動産を取得し、管理運営を行う方式です。

メリット

①所得分散効果が大きい
資産管理会社が建物を保有する為、家賃収入は100%資産管理会社のものとなります。個人は地代収入が残るのみであるため、大幅な所得圧縮を図ることが出来ます。

②納税資金の確保を図ることが可能
資産管理会社に不動産を移転する際には主な移転方法として売買が利用されます。時価や時価に近い価額での譲渡となるため、売買代金も高額になりがちです。そのため、その売買代金をもって、相続税の納税資金とすることが可能です。

デメリット

①不動産の移転に関する諸費用が発生する。
資産管理会社が賃貸不動産を所有することになるため、不動産の所有権移転に関して登記費用と不動産取得税の負担が発生します。また、簿価を超える金額で売買することとなった場合には譲渡税も発生します。

②入居者との間での手続きが煩雑
入居者との契約は資産管理会社が行うこととなるため、個人オーナーとの契約から、会社との契約に変更する必要があります。また、家賃の入金口座も変更となります。

 

 

このように、それぞれメリット・デメリットがありますが、節税額と手間を考えて実行する

対策を選択することが大切です。

節税効果が最も高いのは不動産所有方式ですが、その分の手間や費用も発生します。

最初からどれかを選択するのではなく、余裕資金を考えて段階的に実施するという選択肢も

あります。

 

どのように活用していくか迷われた場合にはぜひ大阪相続税サポートセンターに

ご相談ください。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.10.15更新

相続税の申告を行う方に多いのは主に3種類の方がいらっしゃいます。

①地主様

②中小企業経営者様

③給与水準の高い会社等の役員の方等

いずれもしっかりと対策を行うことで、相続税の支払い額を抑え込むことが可能です。

 

今回は地主様の相続税対策の手法についてご紹介します。

 

地主様の相続税対策として有名なものは「資産管理会社の設立」です。

資産管理会社とはその名の通り、資産を管理する会社です。

地主様に多いのは「不動産はたくさんあるが、現金預金は少ない」というケースです。

この状態はとても危険で、相続税の支払いが困難となる場合があります。

結果として、相続した土地を物納に充てて納付するということにもなりかねません。

 

そこで、納税資金の創出ができ、かつ、相続税対策も行うことができるのが

「資産管理会社の設立」です。

 

例として、地主XにA・B・C3人の子がいたとします。

このうちAを後継者とすると、資産管理会社はAを出資者として設立します。

資産管理会社(法人)を設立後、銀行等から融資を受け、その資金をもって

地主Xと資産管理会社の間で不動産売買を行います。(下図参照)

 

 相続税対策(地主編) 

 

これにより、今まで地主Xに集中していた不動産の収益が法人に移転します。

 

よって、移転をしない場合にはこの不動産賃貸による所得(利益)は地主Xの手元に

相続財産として残ることになるのに対し、資産管理会社に収益を移転させることで

将来に向けて増加する相続財産の抑制を行うことができます。

また、A・B・Cを資産管理会社の役員または従業員とすることで資産管理会社から

役員報酬・給与を支払うことができ、納税資金の積み立てが可能となります。

さらに、売買により得た現金を毎年110万円ずつA・B・Cに贈与することで、

納税資金対策が可能です。

 

資産管理会社はキャッシュフローが最も重要であり、地主が所有しているすべての物件を

移転すればよいというものではありません。

特に、底地を地主から会社に移転する場合、キャッシュフローが悪化する危険性が高まります。

会社のキャッシュフローが悪化する見込みがある場合、銀行融資の審査も厳しくなります。

銀行は返済見込みがある会社にはお金を貸しますが、返済不能となる可能性が高い会社に

わざわざお金を貸しません。

そのため、資産管理会社を設立する場合には専門家とよく相談し、

どの物件をいくらで売買するのかなどを綿密に決定しなければなりません。

 

しかし、売買代金はいくらでもよいというわけではなく、売買代金が時価の50%に満たない場合、

個人に対しては「みなし譲渡課税」の規定が、法人には「受贈益」の規定が適用され、

それぞれ課税されることとなります。

このような事態を防ぐために、不動産鑑定士等の鑑定評価を基本として

売買代金を決定する必要があります。

 

 

当サポートセンターではワンストップサービスを提供し、弊所にご相談頂ければ

不動産鑑定士の手配等も行っております。

ご興味があればまずは一度、無料相談から始めてみませんか?

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.09.15更新

相続税対策(基礎編Ⅰ)でご紹介した生前対策としての「生前贈与」について、少し詳しくお話しします。

 

まず、用語の解説です。

・贈与者:贈与を行う人(ものをあげる人)をいいます。

・受贈者:贈与を受ける人(ものをもらう人)をいいます。

 

基礎編Ⅰでは生前贈与は年間110万円まで無税で贈与できる旨をご説明しましたが、

実は贈与には2種類あります。

①暦年贈与

 最も一般的な贈与のことで、年間110万円まで無税で財産を移転できます。 

②相続時精算課税制度

 主に20歳以上の人が60歳以上の直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けた場合に

 適用することができる制度です。

 届出を行った年以降の贈与について、その贈与者が死亡するまでの間、

 その贈与者からの贈与については累計2,500万円までは贈与税がかからず、

 2,500万円を超える部分については20%の税率で贈与税が計算されるというものです。

 また、その贈与によって取得した財産は贈与者の相続発生時に相続したものとして(=持ち戻して)

 相続税が計算されます。

 ※支払った贈与税は納付すべき相続税額から控除(=精算)されます。

 

上記①と②の違いは次表の通りです。

贈与の種類

 

相続税計算時の持戻しは、①暦年贈与であれば3年間のみであり、②相続時精算課税制度は

適用期間中全ての贈与となります。

例えば100万円を20年間、一人の子に贈与していたとすると税額はどちらも0になりますが、

相続税計算時には①暦年贈与であれば300万円、②相続時精算課税制度では2,000万円

持ち戻すことになります。

そのため少額の贈与であれば、①暦年贈与を使い続ける方が得になることが分かります。

 

では、どのような場合に②相続時精算課税制度の適用を受けた方が良いのでしょうか

よく上げられる例として、次のものがあります。

(1)被相続人の相続財産が基礎控除を下回る場合

相続税は相続財産の価額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば

課税されません。

したがって、相続時精算課税を選択して納めた贈与税相当額は全額還付されます。

 

(2)収益物件を持っている場合

収益物件をお持ちの方は、その収益が現金や預金などの財産として手元に残れば相続財産が

多くなるので、不動産を生前贈与することは相続税対策となります。

また、贈与した不動産から生じる将来にわたる賃貸収入については、贈与税の負担なく子や孫に

移転できることになります。

 

(3)株価が上昇傾向にある株を持っている場合

非上場企業のオーナーの場合、利益が出ればその会社の株価は着実に上がって行きます。

今回のコロナウィルスのような非常事態にならない限りは利益が出る場合には、

なるべく早く相続時精算課税制度を利用した贈与を行うことで、負担を少なくしつつ

株式を異動させることが可能です。

 

相続時精算課税制度の導入は適当にやってしまうと後々相続税の負担を増加させることにもなります。

導入に当たっては専門家の意見を十分に聞くことが重要です。

大阪相続税サポートセンターではシミュレーションを作成させていただき、これに基づいてアドバイスいたします。

是非お気軽にご相談ください。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.08.12更新

今回は、相続税の申告期限についてお話します。

前回コラム「相続人と法定相続人」で出てきた「相続の開始」という文言と密接な関係にあるのが

申告期限です。

 

相続税法上、相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」

なっています。

具体例を示すと・・・

前提(下図参照):Aさん…被相続人(亡くなられた方)

         Bさん(長女)・Cさん(二女)…相続人

相続 前提

 

Aさんは11月1日に亡くなり、長女であるBさんは当日に亡くなったことを知りました。

二女のCさんは11月2日に亡くなったことを知りました。

この場合、Bさん、Cさんはそれぞれで申告期限が異なり、

Bさん・・・9月1日、Cさん・・・9月2日

となります。

相続 申告期限

※亡くなった当日に亡くなったことを知ったのであれば、その亡くなった日の10ヶ月後の同日

(「応当日」といいます)となります。

 

「申告期限」は「申告書の提出と相続税納付の期限」となります。

相続税は税金が高額になることも多い税金です。

特に、地主さんや中小企業オーナーの相続税に関しては現金預金はあまりないものの、

特定の固定資産がかなり高額なため相続税も高額となるパターンがあり、

申告期限までに納付税額のすべてを納付できない場合があります。

 

そこで設けられている制度が「延納」と「物納」です。

 

簡単に言うと、「延納」は分割払い、「物納」は現金の代わりに物で納付することをいいます。

 

それぞれ手続きが必要ですが、現金化することが容易ではない資産を相続した場合には

活用したい制度です。

 

また、物納に関しては物であればなんでも良いというわけではありません。

これには「順位」があり、次表の通りとなります。(国税庁HP 「相続税の物納」参考)

相続 物納

 

表にある物納劣後財産とは、物納に充てることのできる順位が後れるものとして取り扱う財産であり、

主なものは以下の通りとなります。

<物納劣後財産>

1、地上権等が設定されている土地

2、法令違反建築の建物およびその敷地

3、保安林として指定された区域内の土地

4、事業休止法人の株式

 

つまり、国に渡しても国が自由に使えなかったり、処分のために費用がかかるものが

物納劣後財産として取り扱われます。

 

相続税の納付は現金による一括払いが原則ですが、延納・物納の制度を使うことで

負担を軽くすることはできます。

しかし、このような事態に陥らないように事前に現金を貯めることは重要です。

まずはご自身の財産バランスと相続税の額をシミュレーションしてみましょう。

 

土地等の評価もしっかり行いつつ税額試算するなら当サポートセンターへお任せください。

初回相談は無料、テレビ会議等にも対応いたします。お気軽にお問い合わせください!

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

2020.07.09更新

今回は「相続」というものにスポットを当てていきます。

前回コラムの生命保険金で出てきた法定相続人も詳細に解説していきます。

 

そもそも「相続」は民法上の制度であり、税金計算上の言葉ではありません。

「相続」とは、個人が死亡した場合に、その者の有していた財産上の権利義務を

その者の配偶者や子など一定の身分関係にある者に承継させる制度のことをいいます。

この場合、財産上の権利義務を承継される者のことを「被相続人」といい、

これを承継する者のことを「相続人」といいます。

つまり、被相続人から相続人への財産上の権利義務の承継です。

 

そして、「相続の開始」というのが「人が亡くなる」ということです。

 

上記の「配偶者や子など一定の身分関係にある者」という部分については、

民法で次の通り順位が定められています。

相続人に関する順位

 

「相続人」には相続税を考えるうえで「法定相続人」と「相続人」の2種類があります。

①法定相続人

 「相続する権利を有する人」のことを言います。

 つまり、相続放棄などにより実際には財産を相続しない人も法定相続人に該当します。

②相続人

 「実際に財産を相続する人」となるため、相続放棄をした人は相続人には該当しない

 ということになります。

 

下図を例に見てみましょう。

相続人と法定相続人の例 

この場合、法定相続人はBさん、Cさん、Dさんの3人となります。

しかしながら、相続人はBさん、Cさんとなります。

(Dさんは放棄しているため相続人とはなりません。)

 

養子や嫡出子・非嫡出子、認知、半血兄弟姉妹など、民法と相続税が関わっている部分は

まだまだ多くあります。

 

ご相続が発生し、相続人にお悩みであれば幣サポートセンターまでお問い合わせください。

 

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投稿者: 中田聡公認会計士事務所

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